社労士実務 疥癬と労災保険

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今日は介護事業で多い疥癬と労災保険の関係の話です。

疥癬(かいせん)という病気をご存知でしょうか?
イクラとかウニとか刺身とかではありません。

私、そういった海鮮は大好きですが、字が違います。
小さなダニ(ヒゼンダニ)による痒みをともなう病気です。
人から人へうつります。

私も数年前まで、名前すら知らなかったのですが、介護の事業所ではときどきある病気のようです。
ある介護施設で疥癬が発生したのですが、利用者さんの入浴介助をしていてうつったと。
でも、どの利用者さんからうつったのかわからない・・・。

うーん、労災はどうなるのか。
早速監督署に聞いてみました。

すると、労災が使えるかのポイントは次のとおりとのことでした。

1、原因が明らかであること(業務起因性、業務遂行性)
誰からどのようにうつったのか定かでない場合、「その仕事でうつった」とは言い難いため、労災が認められない可能性が高くなるそうです。

2、きちんと疥癬であることの診断を受けること
ただ痒いというだけではダメで、病院で「ダニの存在が確認された」など、きちんと疥癬であることを特定されるということが大事とのことでした。

3、疥癬であることが疑わしいとか予防のためとかでは使えない
今回、介護事業の経営者に、

「疥癬が出た場合、他への感染を防ぐため、症状が出ていなくても受診させたり、薬をもらって飲んだりさせたが労災は使えないのか」

と尋ねられたのですが、確認したところ、

「あくまでも診断結果が出て治療するに至った場合、労災が使えるのであって、疑いや予防の段階では使えない」

との回答でした。

腰痛もそうですが、労災保険というのはなかなか難しいのが、「どう考えても仕事が原因だ」という事象でも、因果関係がわかりずらいものは労災が使えないところです。

例えば、理美容師はシャンプー剤の刺激で、手荒れがひどくなり、病院に行く人もたくさんいますが、これが労災として認められない・・・。

うーん。

私も知識がなかったときは、そういう話を聞くと「そりゃ労災でしょ」と思っていましたが、いざ確認をしてみると「使えない」ということが多いので、あまり安易に「労災ですね」とは言わない方がいいと最近では慎重にやっています。

話を疥癬の戻しましょう。

私が体験した案件は、感染源が特定できず、労災になるか微妙な案件だったため、管轄の監督署に相談したところ、「医療従事者の疥癬の発生状況報告書」を出すようにと用紙をもらいました。
そんな用紙あるんですね〜。

ただし、この用紙は、ある監督署に問い合わせたときには言われなかったので、管轄によるかもしれません。

「疥癬は、病気の性質上、個々の状態や感染経路などにより総合的に判断する」
ということで、こういった用紙を出させるらしいです。

なので、管轄に問い合わせることをお勧めします。

今日は疥癬の話でした。
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